アクアリウムの底砂の種類と選び方!プロが紹介するオススメのソイルは?

水草を飼育する上で欠かせない底砂。

海水魚飼育ではサンゴ砂という底砂一択ですが、淡水魚飼育では飼育する生体に合わせて底砂は選びます。

そのため現在販売されている底砂も数が多く、砂粒の大きさも考えると十数種類もの製品が存在します。

今回は底砂の種類と性質についてご紹介をいたします。

底砂の効果とは?

底砂とはその名の通り、水槽の底に敷く砂です。

この底砂はアクアリウムの見た目を良くするだけではなく、飼育水の水質やpHを整えてくれる効果があります。

底砂の役割は以下の通りです。

底砂の役割
  1. 水質調整
  2. バクテリアの繁殖
  3. 水草の育成
  4. 生体の色揚げ
  5. 見た目に優れる

水質調整

熱帯魚や水草によって飼育に最適な水質が異なります。

種類によっては弱酸性〜弱アルカリ性まで水質を調節しなければなりませんが、水質調整剤を使用して安定させるのは難しいです。

しかし底砂を敷く事で水質を弱酸性や弱アルカリ性に調節し安定させる事ができます

さらにソイルと呼ばれる底砂には水中の陽イオンを吸着する効果があるため、飼育水に含まれるアンモニアを吸着し水質を綺麗に保ってくれます。

バクテリアの繁殖

汚れた飼育水を綺麗にろ過するためにはバクテリアの存在が不可欠です。

通常バクテリアが住み着くのはフィルター内の生物ろ材ですが、実は底砂にも有害物質をろ過する上で大切なバクテリアが住み着いています

一般的なバクテリアは好気性バクテリアと呼ばれており、アンモニアや亜硝酸塩などを無害な硝酸塩に分解します。

さらに底砂には嫌気性バクテリアという硝酸塩をさらに分解し窒素に分解して水槽外に排出するバクテリアも住み着いています。

これらのバクテリアが底砂に繁殖する事で水質をより安定させる事ができます。

水草の育成

水草を育成する上で底砂は不可欠です。

底砂には水草の成長に必要な栄養素がたくさん含まれており、さらに根をしっかりと張るためには必ず必要になります。

当然水草の種類によって必要な栄養素などが異なりますので、水草を育てる事が前提なのであればソイルという水草育成に特化したソイルの使用をオススメします。

生体の色揚げ

生体の体色をより美しく発色させることを色揚げと言います。

熱帯魚の種類によっては底砂の色によって体色の色合いに変化が見られるケースが多く存在します

底層を縄張りとする熱帯魚に多く濃い色の底砂に影響されて体色が濃くなることもあり、またその逆のパターンも存在します。

今後飼育に慣れてきた際に色揚げはアクアリウムのひとつの楽しみになると思いますので、底砂もその面を意識して選んでみても面白いかもしれません。

見た目に優れる

底砂は水質や熱帯魚だけではなくインテリア性にも当然影響を与えます。

底砂を敷いていないシンプルな水槽も底砂を敷くことで自然界の環境に近づける事ができます

使用する底砂の種類によって表現できる見た目も異なりますので、底砂の選び方は非常に重要になってきます。

底砂の種類と性質は?

底砂の種類は大きく分けて5種類あります。

これらの底砂にはそれぞれ特徴があり、見た目や性質が大きく異なります。

5種類の底砂は以下の通りです。

底砂の種類
  1. 砂利
  2. ソイル
  3. 溶岩石
  4. セラミック

底砂の中でも砂粒が最小クラスの砂です。

砂は粒がとても細かいため密度が高いので水草が根を張りやすく安定しやすい特徴があります。

また有名な砂の製品に田砂というものがあるのですが、コリドラスという底砂に頭を突っ込んで餌を食べる熱帯魚でも怪我をしないような作りになっています。

しかし砂には栄養分を含まないので高栄養が必要な水草の飼育には不向きです。さらに通気性が非常に悪いため砂の中に有害物質が溜まってしまう事も多いです。

メリット
  1. 水草が根を張りやすい
  2. 素材が石のため寿命が長い
  3. 底層性の熱帯魚飼育に最適
デメリット
  1. 通気性が悪く有害物質蓄積の危険性
  2. 栄養を含まないので簡単な水草以外飼育不可
  3. 目詰まりを起こすので底面フィルターの利用に不向き

砂利


砂よりも粒が大きいものを砂利と呼びます。

さらに砂利よりも大きな粒の底砂を礫と呼び、砂の粒の大きさによって呼び名が変わります。

砂利や礫は砂よりも粒が大きいため通気性がよく有害物質もたまりにくい傾向があります。

また砂同様に石が主成分のため、型崩れしにくく寿命が長いのも長所と言えるでしょう。また砂同様に砂一粒一粒が丸みを帯びているためコリドラスなどの飼育にも適しています。

通気性や長寿命というメリットが高く評価され、現在でもソイルと同じくらい人気の底砂です。

メリット
  1. 水草が根を張りやすい
  2. 素材が石のため寿命が長い
  3. 底層性の熱帯魚飼育に最適
  4. 通気性が良い
デメリット
  1. 栄養を含まないので簡単な水草以外飼育不可
  2. 大きなゴミが砂の隙間に溜まりやすい

ソイル

現在アクアリウム界で最もユーザーの多い底砂です。

ソイルはアクアリウム専用に製造された水草用の底砂で、栄養分を豊富に含んだ土を焼き固めたものになります。

また飼育水内に存在する有害物質を吸着する性質があるため、水質を綺麗な状態に保ってくれます

多くの熱帯魚が弱酸性の水質を好む傾向があるのですが、ソイルには水質を弱酸性に調整する性質も持ち合わせています

現在多くの製品が販売されていますが、基本的にはADAから販売されているアマゾニア、チャームから販売されているプロソイルどちらかであれば間違い無いでしょう。

メリット
  1. 水草飼育に最適
  2. 栄養が豊富
  3. 飼育水の有害物質を吸着
  4. 水質を弱酸性に維持
デメリット
  1. 寿命が約1年と短い
  2. 団粒構造が崩れ通気性が悪くなる
  3. 元が土であるため衝撃に弱い

溶岩石


その名前の通り、溶岩を砕いてアクアリウム用に製造した底砂です。

粒ひとつひとつが角ばっている見た目をしていることから、他の底砂では表現ができないような飼育環境を実現する事ができます。

今までとは違った水槽の雰囲気を作り出したい方にはオススメの底砂です。

また溶岩石は多孔質になっているため、ろ材同様にバクテリアの住み着く場所が多いためろ過能力に非常に優れています。底面フィルターを設置する場合は最適な底砂の1種でしょう。

ただし粒が角ばっているためコリドラスなどの底層性の熱帯魚の飼育には不向きです。

メリット
  1. 多孔質のためバクテリア繁殖に最適
  2. 原料が石のため寿命が長い
  3. オリジナリティに富んだ雰囲気を創れる
デメリット
  1. 栄養を含まないので簡単な水草以外飼育不可
  2. 粒が角ばっているためコリドラスなどの底層性の飼育に不向き
  3. 粒が角ばっているため衝撃に弱い

セラミック

セラミックはその名前の通り、セラミックという無機物を焼き固めた底砂になります。

栄養素は含まれないため水草メインの水槽には不向きですが、多孔質であるためバクテリア繁殖に長けておりろ過能力を高めてくれます

またセラミックには水質を弱酸性に維持するハイロサイト系と弱アルカリ性に維持する珪酸カルシウム系の底砂が存在します

サンゴ砂を除いて弱アルカリ性に水質を調整する事ができる数少ない底砂ですので、飼育したい生体が弱アルカリ性を好む場合は珪酸カルシウム系のセラミックを使うといいでしょう。

メリット
  1. 多孔質のためバクテリア繁殖に最適
  2. 飼育水の水質の調整幅が広い
  3. 比較的寿命は長い
デメリット
  1. 栄養を含まないので簡単な水草以外飼育不可
  2. 価格が比較的高い

おわりに

さて今回は底砂の種類と機能についてご紹介をいたしました。

飼育する生体が水草メインの場合はソイル一択で、熱帯魚メインの場合はお好きな底砂をお使いいただくといいでしょう。