大人しい色合いの種類もいれば派手な色合いの種類もいるため、創りたい水槽の環境に合わせて種類を選んで飼育する事ができます。
飼育環境の変化に弱い面があるのと口の大きな熱帯魚には捕食されてしまうことがあるので、混泳や水質変化には注意しなければなりません。
また水草に繁茂しているコケを食べてくれるため、コケ取り要員として飼育する方も多いようです。
飼育難易度は?
初心者向け
アクアリウム界ではミナミヌマエビ同様に非常に有名な種類のエビです。
ヤマトヌマエビは比較的体が大きいためコケ取り能力も凄まじく、水槽に繁茂している茶ゴケを中心に食べ尽くしてくれます。
メスの場合身体が6cmくらいまで大きくなることもあるためミナミヌマエビのように数十匹も混泳させることは難しいですが、数匹でも十分存在感を発揮するエビです。
飼育難易度も高くないため初心者の方にもオススメできる種と言えるでしょう。
他種と混泳はできるの?
注意が必要です
大人しい性格のため、基本的には混泳する事が可能です。
同種で複数飼育する場合特に問題はなく、オスメスで飼育をすれば托卵する可能性も非常に高いです。
しかし身体が大きいがゆえにミナミヌマエビやビーシュリンプなどの小型のエビと混泳させる場合、小さな個体をいじめてしまうことも多いです。
熱帯魚と混泳させる場合はカラシンやメダカなどの小型の種類がオススメです。
エンゼルフィッシュなどの中型種や肉食性の強い熱帯魚と混泳をさせてしまうと食べられてしまうことが多いので注意しましょう。
カラシン | △ |
グッピー | △ |
シクリット | × |
ベタ | × |
オトシン | ◯ |
プレコ | △ |
コリドラス | △ |
エンゼルフィッシュ | × |
エビ | ◯ |
繁殖は可能?
繁殖は難しいです
ヤマトヌマエビの繁殖は非常に手間がかかるため一般的には難しいとされています。
ヤマトヌマエビは自然界では汽水域に生息しているため繁殖には海水を用意する必要があります。
まずは本種のオスメスを複数購入し水槽内で飼育しましょう。一定期間経過すると交接しメスが托卵します。
托卵した卵が発眼し始めたら繁殖ケースに隔離した方がいいでしょう。隔離ケースは2〜3Lくらい飼育水が入る大きさで十分です。
隔離ケースにはエアレーションとモスの巻きついた流木、スポンジフィルターなどを入れてあげましょう。また隔離ケースに入れる飼育水は一般的なものではなく、海水を約70%に薄めたものを使用してください。
海水はアクアリウムショップに海水の素が売っていますので、それと比重計を使用すれば簡単に作ることができます(海水の作り方はこちらのページよりご確認ください)。
孵化した後は捕食されないよう親魚を本水槽に戻してください。スポンジフィルターがあれば2週間くらいはそのままの状態でも大丈夫ですが、できれば毎日少量ずつ水換えをしてあげるようにしましょう。
餌は基本的には不要でコケやゾウリムシやワムシなどのインフゾリアを食べて育ちます。これらの生き物はLEDライトや太陽光に当てて入れば自然と生まれてくるものなので取り分けこちらから与える必要はありません。
脱皮を繰り返し無事着底(脚を底につけて生活すること)したら徐々に飼育水を淡水に近づけていきましょう。
水換えの際に海水の比重を徐々に下げていき1週間くらいで淡水に近づけるように変えてあげるのがオススメです。海水からいきなり淡水に移してしまうと浸透圧の関係で身体に害が出てしまいますので注意しましょう。
水草との相性は?
非常に良好です
水草とは非常に相性が良く水草にいたずらする事もありません。
ヤマトヌマエビはコケを主食とするため、水草を綺麗な状態で保ってくれます。水草絨毯を水槽内で作っている方には非常にオススメの生き物です。
ウィローモスなどのモス系は特に相性が良く、熱帯魚からの隠れ家としても役に立つためヤマトヌマエビを飼育する際にはモス系も合わせて飼育してあげるといいでしょう。
必要器具はなに?
基本レベル
一般的な飼育用具のみで長期飼育は可能です。
ただし身体が小さい個体は強い水流には弱いのとフィルターの吸水口に吸い込まれてしまう事もあるためその点は注意したいところです。
またヤマトヌマエビはコケを主食としているためコケが取りやすいウィローモスなどの水草は用意してあげるといいでしょう。
基本的には砂利を敷いてあげることは必須で、底砂がないと捕まる場所がなくなってしまい水に流されてしまう事もあるので注意しましょう。
また酸欠には弱いのでできればエアレーションはしてあげることをオススメします。
水槽 | 必要 | 30cm〜 |
照明 | 必要 | LED |
フィルター | 必要 | 外掛け式フィルター |
クーラー | 必要 | 冷却ファン |
ヒーター | 必要 | 対応水槽製品 |
餌 | 必要 | ー |
水質調整剤 | 必要 | カルキ抜き |
エアレーション | 不要 | 対応水槽製品 |
CO2装置 | 不要 | ー |
底砂 | 必要 | 砂利 |
水槽
30cm〜
ヤマトヌマエビは最大で6cm前後まで大きくなる淡水エビですが、数十匹飼育するような場合でなければ30cmでも飼育は可能です。
ただし繁殖をさせる際や熱帯魚と混泳させる場合は大きめの水槽は必須です。また驚いた際に飛び跳ねる事があるので深さのある水槽か、水槽の蓋を設置できるよう別途フタ受けを購入して設置してあげる事が望ましいです。
水槽サイズ | 30cm | 45cm | 60cm | 90cm |
飼育可能匹数 | 5匹 | 25匹 | 40匹 | 100匹 |
照明
LEDライトレベル
ヤマトヌマエビを飼育する際は簡単なLEDライトのみで飼育が可能です。
成長する上で光が必要なわけではありませんので、スポットLEDのような安価な製品でも十分飼育が可能です。
ただし水草を合わせて飼育する方が多いと思いますので、その際は水草飼育に必要な波長の揃ったLEDライトを購入するようにしましょう。
フィルター
外掛け式フィルターレベル
水質変化には弱い種類のため必ずフィルターは設置してあげるようにしましょう。
30cm水槽で数匹だけ飼育するのであれば外掛け式フィルターでも十分飼育が可能です。ただし45cm以上の水槽で十数匹飼育する場合や他の熱帯魚と混泳させる場合は上部フィルターや外部フィルターを使用することをオススメします。
全てのフィルターで共通して注意すべき点は吸水口にヤマトヌマエビが吸い込まれる事があるため、スポンジなどをつけてあげる必要があります。水槽の大きさに合わせてフィルターやスポンジは選ぶようにしましょう。
クーラー
冷却ファンレベル
ヤマトヌマエビは比較的水温変化に耐性はあるものの、高温には耐えられない場合が多いです。
そのため真夏の30℃を超すような水温になる場合は冷却ファンやクーラーなどを設置してあげるのがいいでしょう。
しかしクーラーは非常に高価なため、まずは冷却ファンで様子を見てもいいかもしてません。
ヒーター
対応水槽製品レベル
基本的にヒーターは設置しましょう。
10℃前後の低音にはある程度耐えられるものの真冬の超低温には耐えられません。水草や他の熱帯魚を飼育する場合と同様に使用する水槽に対応した製品であればなんでも大丈夫ですので必ず設置してあげましょう。
エサ
必要ありません
ヤマトヌマエビをコケ取り要因として飼育する場合は餌は必要ありません。
餌を与えてしまうとコケを食べなってしまうため、餌は控えるようにしましょう。
もしヤマトヌマエビだけを飼育するのであれば餌をあげても構いません。その場合はffシリーズの「ff num24」を与えてあげるといいでしょう。
水質調整剤
カルキ抜きレベル
基本的に水質調整剤は必要ありません。
飼育水を作成する際にカルキ抜きだけすれば十分飼育する事が可能です。
オススメのカルキ抜きは水質調整剤として有名なリバースシリーズです。カルキ抜きの効果だけではなくろ過能力の強化やコケの生えにくい水質に変えてくれますので非常にオススメです。
底砂
砂利がオススメ
ヤマトヌマエビを飼育する場合は砂利などの底砂を敷いてあげましょう。
ヤマトヌマエビは底層を縄張りとする生物のため、底砂がないと水流に流されてしまったり他の生き物から狙われやすくなってしまう場合もあります。
また基本的には水草も飼育するでしょうから、砂利またはソイルなどの底砂は必ず設置してあげるようにしましょう。
理想の飼育環境は?
基本レベル
一般的な熱帯魚と飼育環境はほとんど変わりません。
飼育水温や適性pHはミナミヌマエビに比べて若干デリケートな面を持ち合わせます。水質と水温にはしっかりと適性数値を維持できるようにしてあげましょう。
また寿命はミナミヌマエビに比べると非常に長く、個体によっては10年以上も生きるものもいます。長期飼育をするためには広い水槽で外敵となるような熱帯魚との混泳は避けるようにしましょう。
寿命 | 約5〜6年 |
最大体長 | 約6cm |
適性水温 | 15〜27℃ |
適性pH | 中性〜弱アルカリ性 |
遊泳層 | 底層 |
寿命
約5〜6年
約5〜6年です。
一般的な熱帯魚と比較しても寿命は長く、長い個体だと10年以上も生き続けます。約1年が平均寿命と言われているミナミヌマエビに比べ非常に長寿です。
最大体長
約6cm
最大で6cm以上にもなる淡水エビの中では大型の種類です。
オスとメスで成長する身体の大きさが異なり、メスの方が大きく育ちます。長期飼育をすればするほど大きく育ちますので、今後の成長に備えて水槽は大きめのものを購入しておくといいかもしれません。
適性水温
15〜27℃
飼育可能水温は15〜27℃と比較的広めの水温耐性を持ちます。
ただし夏場や冬場の超高温、超低温には耐える事ができませんのでしっかりとヒーターやクーラーを設置してあげましょう。
適性pH
中性〜弱アルカリ性
最適pHは中性〜弱アルカリ性です。
比較的幅広い水質で飼育することが可能ではありますが、できれば中性付近で維持できるように水質を調整してあげましょう。
ただし急激な水質変化には弱い傾向がありますので水換えの際などには十分注意しましょう。
遊泳層
底層
ヤマトヌマエビは底層を縄張りとしています。
そのため中層や上層付近を泳ぐ熱帯魚と混泳上問題になることはありません。ただし底層を遊泳層とするコリドラスと混泳する場合は注意が必要です。
身体が大きく砂を掘る習性があるのでヤマトヌマエビにストレスを与えてしまう場合があります。できれば底層を縄張りとするような熱帯魚との混泳は避けるようにしましょう。
おわりに
さて今回は淡水エビの中ではヤマトヌマエビについてご紹介しました!
ヤマトヌマエビだけを飼育する人がいるくらいファンの多い生き物です。長期飼育ができるようになれば次は繁殖にチャレンジしてみてください!